睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸停止または低換気となり、著しい酸素飽和度の低下や脳波の覚醒を起こし、夜間に熟睡をすればするほど、疲れてしまう病気である。日中の激しい睡魔に襲われ、交通事故や人為的なミスの原因として今日注目を浴びている。
主な原因は舌根沈下という物理的な原因に寄って起こる、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(O-SAS)と呼吸中枢という脳の大事な部分の障害により起こる、中枢性睡眠時無呼吸症候群(C-SAS)とに分けられる。閉塞性の場合は、肥満が大きな原因の一つである。軽症であれば睡眠時にマウスピースを使用することによって、改善を見込めるが、重症であれば持続的陽圧換気(CPAP)の適応となる。睡眠時無呼吸と、高血圧、糖尿病、心不全、心筋梗塞、脳梗塞との因果関係は証明されており、CPAPを用いて、治療を行うとそのリスクを下げられることも分かっている。中枢性睡眠時無呼吸症候群(C-SAS)は慢性心不全患者の50%に合併することが、報告されている。原因としては、心不全などによる二次的な原因や、脳梗塞等により、直接脳にダメージを受けたことによる場合もある。中枢性睡眠時無呼吸症候群の場合には、CPAPを用いると、症状が悪化する場合があるので、アダプティブサーボベンチレーション(ASV)という新しい陽圧換気療法を持ちいる必要がある。
睡眠時無呼吸の治療には、CPAPやASVのような、補助呼吸装置を持ちいるだけではなく、減量や、減塩など、全身状態のコントロールも必要不可欠となる。いびきが酷く、夜寝ても日中眠くて仕方がない、太っている方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、一度専門医受診を勧めます。