虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、心臓を栄養する血管(冠動脈)が動脈硬化により、血管内腔が狭くなり、心臓にいく血液の流れが悪くなっている状態です。だんだんと冠動脈の血管内腔が狭くなり、動いた時(労作時)に胸が痛くなるのが、労作性狭心症です(別名を安定狭心症)と言います。この疾患の特徴は、動いて心臓に負担がかかる時に、胸痛や胸部圧迫感、背部痛、肩の痛みが起こりますが、安静にすると症状が和らいでいきます。しかし、次第に悪化すると、あまり動かなくても、胸痛などの自覚症状が出現するようになり、おとなしく安静にしていても、自覚症状が出現するようになります。この状態を不安定狭心症と呼びます。不安定狭心症とは、言い換えると、安定狭心症が悪化し、心筋梗塞の一歩手前となっている状態です。この状況では痛みの程度と頻度が高くなってきます。安静にしていても胸痛が出現し、ずっと続いてしまう状況が急性心筋梗塞です。この状況となると、冷や汗や激しい胸痛、呼吸苦などが出現します。目安として、症状が30分以上継続する時には、心筋梗塞が疑われますので、出来るだけ早く、病院を受診しましょう。自覚症状が強い時には、我慢せずに救急車を要請することをお勧めします。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)の原因としてあげられるのが、冠危険因子です。冠危険因子はたくさんありますが、その中でも、重要なものを5大冠危険因子と呼びます。5大間危険因子とは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール)、喫煙、肥満です。血の繋がっている家族に、心臓病の人がいる場合には、より一層気をつけましょう。これらの冠危険因子は、あればあるほど、虚血性心疾患などの危険性が高まります。イメージとしては、1+1=2ではなく、2.3倍や4倍にもなっていくイメージです。一つひとつの疾患をコントロールしていくことにより、リスクは低くなります。心筋梗塞を起こした時の、死亡率は、一般的に、自宅で様子を見た場合には50%程度、病院を受診した時には10%前後と言われております。心筋梗塞の重症度によっても、死亡率は変わりますので、一概には言えません。現在のように医学が発展しても、発症すると10人に1人は死亡するという恐ろしい病気です。急性心筋梗塞の治療には、薬物療法と血行再建術があります。